甲状腺のしこり・喉の違和感・首の腫れが気になる方へ
甲状腺のしこり、首の腫れ、喉の違和感といった症状は、日常生活の中で気づいても「様子を見よう」と放置されやすい傾向があります。しかし、これらの変化は甲状腺の病気が関係していることもあり、早期発見が重要なケースも少なくありません。甲状腺は体の代謝や体温調節、心拍などに関わる大切な臓器であり、異常があると全身の不調につながることもあります。多くの甲状腺疾患は良性ですが、中には精密検査や継続的な経過観察が必要となる場合もあります。気になる症状がある方は、自己判断せず、まずはお気軽に当院までご相談ください。首のしこりや腫れに気づいたとき、喉の違和感が続くとき、健診で指摘された場合などは、早めの受診をおすすめします。
甲状腺結節とは
甲状腺結節は甲状腺内にできるしこりのことです。甲状腺結節は腫瘍と腫瘍様病変に分けられ、腫瘍は良性と悪性に分類されます。悪性がいわゆる「癌」です。良性のものとして腺腫様甲状腺腫/腺腫様結節、濾胞腺腫、甲状腺のう胞などがあります。悪性のものとしては、乳頭癌、濾胞癌、低分化癌、未分化癌、髄様癌、甲状腺悪性リンパ腫があります。自覚症状は小結節では気づかないことが多く、ある程度の大きさになると、首のしこりに偶然気づいたり、健診の触診や超音波検査などで指摘されたりします。さらに増大してくると、空気の通り道の気管を圧迫し、前頚部に圧迫感が生じることもあります。甲状腺のしこりに気づいたり、指摘された際は良性と悪性の判断が必要なため甲状腺専門医への速やかな受診をお勧めします。また、自覚症状が出現した際にはある程度の大きさとなっている可能性があること、甲状腺超音波検診で所見があった方の割合が約50%と高頻度であった報告もあることから、早期発見のためにも健診で甲状腺超音波検査のオプションもお勧めしております。当院健診でも甲状腺超音波検査をオプションでご追加できますのでご相談ください。
甲状腺良性結節とは
甲状腺良性結節は腺腫様甲状腺腫/腺腫様結節、濾胞腺腫、甲状腺嚢胞があります。これらについて説明します。
腺腫様甲状腺腫/腺腫様結節
甲状腺にできる代表的な良性結節(しこり)で大多数を占めます。単発のものを腺腫様結節、多発するものを腺腫様甲状腺腫とよびます。
原因
原因は不明な点が多いですが、女性ホルモンの関与や、タバコ、TSH刺激(TSH産生腫瘍、バセドウ病、甲状腺機能低下症など)、先端巨大症、家族歴などが報告されてます。
症状
多くの場合、自覚症状はほとんどありません。
しかし、結節が大きくなると、首の腫れや圧迫感、呼吸困難などを感じることがあります。
結節が後方へ増大すると、食道が圧迫されるため、飲み込みにくさを生じることがあります。ただし、このような症状は比較的まれです。同様に、痛みや押したときの痛み(圧痛)が出ることもありますが、こちらも多くはありません。
また、高齢になるにつれて喉頭の位置が下がるため、体位によって気管(空気の通り道)が圧迫されやすくなります。その結果、咳や呼吸困難などの症状が出やすくなることがあります。
さらに、まれではありますが、結節から甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、動悸、発汗の増加、体重減少などの甲状腺中毒症の症状を引き起こすことがあります。この状態を「機能性結節」といいます。
検査
検査で一番大事なことは悪性か良性かを確かめることです。超音波検査と甲状腺ホルモン過剰でないことや他の甲状腺疾患合併の可能性を確認するために採血検査も実施します。また、必要に応じて頚部~胸部CT検査や細胞診検査が必要となることがあります。
治療
下記の状態になると、治療が必要になります。
- 圧迫症状を呈している時
- 増大傾向で今後圧迫症状を呈する可能性がある時
- 縦隔内に進展している時
- 癌の合併やその疑いが強い時
- 機能性結節の時
- 見た目上の問題などで患者様がご希望された時
定期的な経過観察の必要性
甲状腺結節は定期的な経過観察が非常に重要です。
その理由は以下の通りです。
- 良性結節でも増大すると治療適応になることがあること
- 細胞診検査を実施されても偽陰性のこともあること
- 新規に悪性腫瘍を合併することがあること
- 機能性結節となることがあること
- 濾胞癌の可能性を示唆する経過を呈することもあること
また、加齢に伴い、高血圧、糖尿病、心臓病などが生じることで全身麻酔が必要となった時に手術に差し支えるようになることもあります。そのため、増大傾向で今後圧迫症状を呈する可能性がある時は、先を見据えて治療時期を検討することも大切です。先を見据えて早めに治療時期を検討するためにも、定期的な経過観察をすることでタイミングを逸しないことが重要です。
濾胞腺腫
良性腫瘍ですが、悪性腫瘍の濾胞癌との鑑別は細胞診検査でも難しいため、濾胞腺腫と濾胞癌をあわせて濾胞性腫瘍とよびます。最終的には手術をし、顕微鏡で被膜浸潤、血管浸潤、甲状腺外への転移の有無でようやく診断がつきます。
濾胞性腫瘍で手術を考慮する場合
以下の場合に手術を考慮されます。
- 腫瘍のサイズが大きい時
- サイログロブリン(Tg)が高値の時
- 増大傾向の時
甲状腺のう胞
甲状腺のう胞は、甲状腺内に液体が溜まってできる袋状の構造物です。真性のう胞と続発性のう胞があり、大半は続発性のう胞です。続発性のう胞の原因としては、充実性腫瘍内での壊死、変性、出血などによって生じるのう胞状変化です。
症状
小さいと無症状のことが多いですが、大きくなると首の腫れ、圧迫感、飲み込みにくさなどを感じることがあります。急激な腫瘍内での出血は腫瘤の急速な増大を呈するため、痛みや圧痛が出現します。
治療のタイミング
見た目が気になったり、症状が強い際には細胞診検査で袋の中の液体を抜くことが検討されますが、液体を抜いても時間がたつとまた液体がたまってくることがあります。何回液体を抜いても溜まってきてしまう際はエタノール注入療法(PEIT)が考慮されます。PEITでも改善乏しい時には、手術も検討されます。