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甲状腺悪性腫瘍

甲状腺結節とは

甲状腺結節とは甲状腺結節は甲状腺内にできるしこりのことです。
甲状腺結節は腫瘍と腫瘍様病変に分けられ、腫瘍は良性と悪性に分類されます。悪性がいわゆる「癌」です。良性のものとして腺腫様甲状腺腫/腺腫様結節、濾胞腺腫、甲状腺のう胞などがあります。
悪性のものとしては、乳頭癌、濾胞癌、低分化癌、未分化癌、髄様癌、甲状腺悪性リンパ腫があります。自覚症状は小結節では気づかないことが多く、ある程度の大きさになると、首のしこりに偶然気づいたり、健診の触診や超音波検査などで指摘されたりします。さらに増大してくると、空気の通り道の気管を圧迫し、前頚部に圧迫感が生じることもあります。甲状腺のしこりに気づいたり、指摘された際は良性と悪性の判断が必要なため甲状腺専門医への速やかな受診をお勧めします。また、自覚症状が出現した際にはある程度の大きさとなっている可能性があること、甲状腺超音波検診で所見があった方の割合が約50%と高頻度であった報告もあることから、早期発見のためにも健診で甲状腺超音波検査のオプションもお勧めしております。当院健診でも甲状腺超音波検査をオプションでご追加できますのでご相談ください。

甲状腺悪性腫瘍とは

甲状腺悪性腫瘍は乳頭癌、濾胞癌、低分化癌、未分化癌、髄様癌、甲状腺悪性リンパ腫があります。これらについて説明します。

乳頭癌

最も多い甲状腺癌で、全体の約90%以上を占め、女性に多いです。比較的ゆっくり進行しますが、中には増大が速いものもあります。
初期には自覚症状がないことがほとんどで、健康診断や画像検査などで偶然見つかることがあります。進行すると、首のしこりや腫れ、飲み込みにくさ、声のかすれなどの症状がでることがあります。
検査は血液検査、超音波検査を実施し、悪性腫瘍を疑う所見があれば細胞診検査を実施します。乳頭癌の治療は手術が基本となります。手術後も長期間経過後に再発することがあるため、他の癌のように5年で定期通院終了とならず、長期的に経過をみる必要があります。
乳頭癌でも10mm以下のものを微小乳頭癌と呼び、微小乳頭癌は遠隔転移なく、リンパ節転移なく、周囲組織への浸潤リスクがない場合は慎重な経過観察も選択肢となります。その理由としては、経過観察中に腫瘍が大きくなってから手術をしたとしても致命的にはなりにくいことが近年報告されているためです。

濾胞癌

濾胞腺腫と濾胞癌をあわせて濾胞性腫瘍とよびます。濾胞癌の診断は、最終的には手術をし、顕微鏡で被膜浸潤、血管浸潤、甲状腺外への転移の有無でようやく診断がつきます。
濾胞性腫瘍で手術を考慮する場合は、①腫瘍のサイズが大きい時、②サイログロブリン(Tg)が高値の時、③増大傾向の時に考慮されます。
乳頭癌と同様、初期には自覚症状がないことがほとんどで、健康診断や画像検査などで偶然見つかることがあります。進行すると、首のしこりや腫れ、飲み込みにくさ、声のかすれなどの症状がでることがあります。
乳頭癌と異なり、リンパ節への転移は少ないですが、血行性に肺や骨に転移することがあります。予後は遠隔転移を起こさなければ良好です。

低分化癌

低分化癌は、高分化癌の乳頭癌、濾胞癌と未分化癌の中間に位置します。甲状腺癌の中でも悪性度が高く、未分化癌ほどではないですが、比較的進行が速いタイプの癌です。発症頻度は少ない癌です。

未分化癌

未分化癌は、甲状腺癌の中で最も悪性度が高く、急速に進行する癌です。
甲状腺癌全体の1~2%程度と比較的まれですが、発症すると週単位から1ヶ月程度の短期間で大きくなり、首の痛みや皮膚の赤み、声のかすれ、飲み込みにくさ、呼吸困難を伴うこともあります。周囲の組織や遠隔臓器への転移を起こしやすいのが特徴です。
乳頭癌や濾胞癌から未分化癌へ切り替わることがあるため(未分化転化)、乳頭癌や濾胞癌の既往や長期にわたり放置された甲状腺結節の経過があることがあります。

髄様癌

髄様癌は、甲状腺のC細胞(傍濾胞細胞)から発生する特殊な甲状腺癌で組織にアミロイド沈着を認めます。
他にアミロイド沈着するものはアミロイド甲状腺腫などがあります。アミロイド甲状腺腫は関節リウマチなどの炎症性疾患や多発性骨髄腫などの血液疾患に関連して生じることがあります。髄様癌は甲状腺癌の1~2%で稀です。
症状は無症状もしくは首の腫瘤以外に症状を認めないことが多いです。
髄様癌の超音波所見は多彩なため、超音波所見のみで診断することは困難です。細胞診や血清カルシトニン、CEAを測定します。ただ、髄様癌は非常にまれですので、全例に血清カルシトニン、CEAを測定することは推奨されておりません。
原因としては、孤発性(原因不明)と遺伝性(遺伝子変異による)の2つのタイプがあります。遺伝性のものとしては、MEN2A、MEN2B、FMTC(家族性甲状腺髄様癌)があげられます。
MEN2Aは髄様癌以外に褐色細胞腫原発性副甲状腺機能亢進症を合併することがあります。MEN2Bは髄様癌以外に褐色細胞腫、粘膜神経種、特有の外見的特徴(マルファン様体型)を呈することがあります。FMTCは遺伝性に髄様癌のみを認める時とされます。治療は手術が第一選択です。

悪性リンパ腫

甲状腺の悪性リンパ腫は、甲状腺悪性腫瘍の1~5%です。90%に橋本病を合併します。
悪性リンパ腫を発症するのは、橋本病のごく一部の人ですが、平均年齢60歳台で女性に多く発症します。
低悪性度のMALTリンパ腫と中悪性度のDLBCLがあります。症状はMALTリンパ腫では年単位で緩やかに大きくなっていくため無症状のこともありますが、DLBCLでは週~月単位で増大するため、声のかすれ、呼吸困難、飲み込みにくさがでることがあります。
検査は、超音波検査と細胞診を行い、悪性リンパ腫が疑われた場合、生検手術を検討します。
CT検査やPET検査、骨髄穿刺によって、リンパ腫が全身にどの程度広がっているかを調べます。
治療は放射線治療と化学療法があり、リンパ腫のタイプと広がりに応じた治療が行われます。
橋本病がある方は悪性リンパ腫を生じることもありますので、定期的に甲状腺エコー検査を実施することが大切です。

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よくある質問(FAQ)

甲状腺がんは再発することがありますか?

甲状腺がんは、他の多くのがんと比べて治療後の経過が良好ですが、再発のリスクは比較的低いとされています。
再発が起こる場合でも、その多くは首のリンパ節や甲状腺周囲に限局して認められます。
再発の有無やリスクは、がんの種類、大きさ、リンパ節転移の有無などによって医学的に評価され、
これらを踏まえた定期的な診察と検査を行うことで、再発は早期に発見し、適切に対応することが可能です。

甲状腺がんのしこりは、どこにできますか?

甲状腺がんのしこりは、首の前側、のどぼとけの下あたりに触れることが多いのが特徴です。 甲状腺は首の中央からやや左右に広がる位置にあるため、しこりは首の片側または両側に感じられることもあります。 多くの場合、痛みを伴わず、ゆっくりと大きくなるため気づきにくいこともあります。 首のしこりや腫れに気づいた場合は、早めに甲状腺エコー検査を受けることが大切です。

甲状腺がんの手術後は、どのような検査で経過をみますか?

手術後は、頸部超音波(エコー)検査で首の状態を確認し、血液検査で腫瘍マーカーなどを測定しながら経過をみていきます。 必要に応じて追加検査を行い、再発や転移の早期発見につなげます。
当院では、甲状腺専門医による即日検査・即日結果説明に対応しております。お気軽にご相談ください。

甲状腺がんの生存率はどのくらいですか?

全国がんセンター協議会が行った生存率共同調査によると、2007年から2009年にかけて、手術だけでなく放射線治療や薬物療法などを受けた甲状腺がん患者さんを対象に解析した結果、 甲状腺がん全体の5年生存率は92.1%と報告されています。 病期別では、ステージⅠが100.0%、ステージⅡが98.6%、ステージⅢが99.0%、ステージⅣでも73.2%と、比較的高い生存率が示されています。 特にステージⅠ〜Ⅲの段階で診断された場合は、長期的な予後が非常に良好であることが特徴です。 そのため、検査や健診によって早期に発見し、適切な治療につなげることが重要といえます。

甲状腺がんは他の臓器に転移することがありますか?

甲状腺がんは比較的進行がゆっくりなことが多いですが、病状が進んだ場合には他の臓器に転移することがあります。
主な転移先としては肺や骨が多く、まれに肝臓や脳などに及ぶこともあります。
ただし、定期的な検査によって早期に変化を捉えることで、治療方針を適切に調整できる場合があります。
気になる症状や不安がある場合は、早めに医師へご相談ください。

甲状腺がん手術後は、甲状腺ホルモン薬を飲み続ける必要がありますか?

甲状腺がんの手術で甲状腺を大きく切除した場合や全摘した場合は、体内で十分な甲状腺ホルモンを作ることができなくなるため、
甲状腺ホルモン薬の内服が必要になります。
薬を服用することでホルモンバランスを保ち、だるさや体重変動などの症状を防ぐことができます。
服用量は血液検査の結果をもとに調整し、医師の指示のもとで継続することが大切です。

放射性ヨウ素療法とはどのような治療ですか?

放射性ヨウ素療法は、手術後に残った甲状腺組織や微小ながん細胞を治療する目的で行われる治療法です。 甲状腺細胞がヨウ素を取り込む性質を利用した治療で、再発リスクを下げるために行われることがあります。
必要と判断された場合には、速やかに連携する専門の医療機関をご紹介いたします。

甲状腺がんは遺伝することがありますか?

甲状腺がんの多くは遺伝とは関係なく発症しますが、一部のタイプでは遺伝が関与することがあります。
特に髄様甲状腺がんでは遺伝的要因が関係する場合があり、家族内で同じ病気がみられることがあります。
ご家族に甲状腺がんの方がいる場合や不安がある場合は、必要に応じて専門医による評価や検査を検討しますので、お気軽にご相談ください。