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高血圧・睡眠時無呼吸症候群
・二次性高血圧

患者様から、下記のような経過をよく伺います。

「近くの内科で血圧が高いので、血圧を下げる薬を始めました。睡眠時無呼吸症候群やホルモンを調べたことはありません。動脈硬化の検査もしたことがありません。」

「クリニックで血圧測るだけで家では測ったことはありません。クリニックでは緊張して血圧が高めになるのに、先生にどんどん薬を増やされてしまいます。」

何も検査せずにこの治療で本当に良いのでしょうか?
次の項目から詳しく説明します。

高血圧とは

高血圧の方は非常に多く、日本で約4300万人いると言われております。男性では30歳代で既に20.5%の方(約5人に1人)が高血圧で、40歳代で36.2%、50歳代で60.8%、60歳代で68.8%と増加していきます。女性では、30歳代では5.7%ですが、40歳代では既に13.6%(約10人に1人)、50歳代で35.7%、60歳代で58.0%と半数以上が高血圧と、男女問わず高血圧の方は多いのが現状です。

高血圧を放置するとどうなるか

高血圧を放置すると次のような様々な臓器に障害がでます。

  • 脳血管障害(脳梗塞や脳出血)
  • 心臓病(狭心症、心筋梗塞など)
  • 腎臓病(慢性腎臓病、透析など)
  • 血管疾患(閉塞性動脈硬化症、足壊疽(足が腐ってしまうこと)など)

私は、総合病院や大学病院で多くの患者様を診察し、重篤な状態の方もたくさん診察してきましたが、これらの症状が出た時には、高血圧による臓器障害が進行しており、劇的な改善が難しいです。これらの症状を起こさないようにするためには、症状がないからこそ定期的に通院し、治療することが大切です

原因

診察生活習慣では、しょっぱいものの過剰摂取(食塩過剰摂取)や肥満、運動不足、飲酒、喫煙、バランスの悪い食事などが高血圧と関係します。糖尿病内科専門医は糖尿病しか診療できないと思われることもありますが、実は糖尿病だけでなく生活習慣病全般の専門家で、高血圧治療にも精通しています。
他の代表的な原因として睡眠時無呼吸症候群、原発性アルドステロン症などがあり、これらを「2次性高血圧」と言います。高血圧の方の約30%が睡眠時無呼吸症候群であり、最も多い2次性高血圧の1つで、睡眠学会総合専門医の専門です。
また、高血圧の方の約10%で原発性アルドステロン症があります。これら以外も含めた2次性高血圧の代表的な原因として次のようなものがあります。ほぼホルモンの異常によるものが多く、内分泌代謝科専門医(内科)、甲状腺専門医が専門の疾患です。

高血圧の原因となる疾患

院長は糖尿病内科専門医、内分泌代謝科専門医(内科)、甲状腺専門医、睡眠学会総合専門医です。これらを全て取得している医師は少ないです。

なぜ2次性高血圧の
診断が重要なのか

生活習慣病睡眠時無呼吸症候群は心臓病、脳卒中などの動脈硬化性疾患を起こし、心血管死亡リスク上昇 (心臓病や脳卒中などで死亡すること)と関連することもあります。また、生活習慣病との関連も深く、高血圧だけでなく糖尿病発症の原因となる可能性も指摘されています。

糖尿病や睡眠時無呼吸症候群単独でも心血管死亡リスクは上昇しますが、両者を合併すると、心血管死亡リスクがさらに高くなることが報告されています。そのため、高血圧に対して内服治療で血圧が落ち着いてても、十分に心臓病や脳卒中などを防げるとはいえないことが問題です

原発性アルドステロン症も同様で、原発性アルドステロン症の治療をされずに高血圧のみ治療されますと、十分に血圧コントロールされても動脈硬化などの合併症が進行しやすいことが知られております。そのため、高血圧の治療を開始する前に原因をしっかり調べることが重要です。原因を調べられずに、「血圧が高いので降圧薬を開始しましょう」と言われ、漫然と降圧薬を投与されている方がいます。もし、現在通院されているクリニックでそのような治療をされているようでしたら、ぜひ当院にご受診ください。

これら以外の甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症、クッシング症候群、褐色細胞腫、先端巨大症についても、血圧を下げてもこれらの疾患の根本的な治療とはなりませんので、内分泌代謝内科を受診した際に、身体所見や検査結果からこれらの疾患が初めて判明することがあります。原因があるものに関しては原因に対して治療することで高血圧が改善する可能性がありますので原因を調べることが重要です。

2次性高血圧を調べることが大切な理由をまとめますと、①降圧薬(血圧を下げる薬)を飲んでいても心臓病や脳梗塞などを十分に防ぐことができないため、②2次性高血圧を調べずに血圧だけ下げても根本的な治療とはなっておらず、原因に対して治療することで血圧が改善する可能性があるための2点となります。

高血圧合併症の検査

では、高血圧による合併症を発症する前に危険性を知ることはできないのでしょうか。それぞれの合併症に対して次のような検査があります。

  • 脳血管障害:頚動脈超音波検査
  • 心臓病:心電図
  • 腎臓病:採血、尿検査
  • 血管疾患(閉塞性動脈硬化症、足壊疽(足が腐ってしまうこと)など):足関節/上腕血圧比(ABI)

当院では、頚動脈超音波検査、心電図、採血、尿検査、足関節/上腕血圧比(ABI)を実施できます。
これらの検査を定期的に実施することで、重篤な状態になる前に早期発見します。
定期的に検査をされていない方は気が付かないうちにこれらの臓器障害が進行していることがあります。

高血圧の診断と分類

高血圧は診察室血圧(診察室で測定する血圧)と家庭血圧(自宅で測定する血圧)によって4つに分類されます。

  • 診察室血圧 < 140/90 mmHg、家庭血圧 < 135/85 mmHg:非高血圧
  • 診察室血圧 < 140/90 mmHg、家庭血圧 ≧ 135/85 mmHg:仮面高血圧
  • 診察室血圧 > 140/90 mmHg、家庭血圧 ≧ 135/85 mmHg:持続性高血圧
  • 診察室血圧 > 140/90 mmHg、家庭血圧 < 135/85 mmHg:白衣高血圧

この中で治療が必要なのは仮面高血圧と持続性高血圧になります。仮面高血圧は、診察室血圧は正常ですが、家庭血圧が高値を示します。仮面高血圧は持続性高血圧と同程度の臓器障害や脳心血管病の発症リスクが高いと報告されており、治療が必要です。仮面高血圧は家庭血圧を測定しなければ診断できず、持続性高血圧と同程度に合併症が進行しますので、家庭血圧を測定することが重要です。白衣高血圧では家庭血圧は正常ですが、診察室血圧をみて降圧薬を処方されているケースがあります。その場合は、家庭血圧が下がりすぎている方もおり、ふらつきなど生じていることがあるため降圧薬減量が検討されます。

家庭血圧の測定法

様々な血圧計が販売されております。主に上腕で測定するタイプと手首で測定するタイプが販売されておりますが、上腕式が勧められます。測定回数としては朝と晩で各々原則2回測定し、その平均値を採用します。朝は起きて排尿し、座った状態で1-2分安静にしてから測定します。朝の内服と朝食は血圧測定してからにしましょう。晩は就床前に座った状態で1-2分安静にしてから測定します。朝も晩も血圧測定前に喫煙や飲酒、カフェイン摂取は避けましょう。

高血圧の治療

治療としては大きく2つに分けられ、①生活習慣の改善②降圧薬になります。
治療目標としては、原則的には家庭血圧を指標としますが、家庭血圧計がない方は診察室血圧を指標とします。
家庭血圧目標としては125/75 mmHg未満、診察室血圧目標は130/80 mmHg未満です。ただ、患者様の状態によって、適宜調整いたします。

生活習慣の改善

  • 食塩制限
  • BMI 25 kg/m2未満を目指す
  • 運動する
  • お酒を減らす
  • 禁煙する
  • 屋内・屋外で寒冷曝露を避ける
  • 適度な睡眠時間(6~8時間程度)
  • 便秘の改善
  • ストレスを避ける

降圧薬

降圧薬はCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬、MR拮抗薬、ARNI、α遮断薬と多くの種類があります。

当院では高血圧を適切にコントロールすることで合併症の発症を防ぐことを目標とし、患者様の病態に応じて最適な治療方針をご提案します。はじめにしっかり原因を調べ、定期的に合併症検索することを大事にしております。